4. 「竈の煙」は見えますか?

日本と韓国のスルメイカ(秋生まれ群)の漁獲量は、2000年代初めから減少しています。この原因について、水産庁がインターネット上で公開している「わが国周辺の水産資源の現状を知るために」からの情報とイカ男独自の仮説に基づいて考察したいと思います。

スルメイカ秋生まれ群の漁獲量(水産庁HP)

ダウンロードした「令和3(2021)年度スルメイカ秋季発生系群の資源評価」を読むと、中国は北朝鮮から同国EEZ(排他的経済水域)で操業する権利を買い、2004年からスルメイカを漁獲しているようです。東シナ海で多数操業している虎網などの灯火漁船もいるそうですが、主体は2そうびき網漁船。集魚灯を使わないで大量に漁獲できるのですから、よほど多くのイカが群れをなしている海域があるのでしょう。昼間、スルメイカは生存可能な水温の範囲で深くまで潜って、休んでいるに違いありませんので、そこを急襲するのですね。

日本海における各国のEEZ

北朝鮮のEEZは日本海の北西部にあたり、対馬海盆のちょうど北です。ここは、東韓暖流(対馬暖流第3分枝)と日本海北部を西に流れるリマン海流がぶつかる、比較的流れの少ない海域です。この海域における水産資源について、イカ男はほとんど情報をもっていないのですが、対馬海盆で成長した魚介類が北上してくる可能性もあり、けっして過小評価はできないのではないと思います。中国がわざわざ船団を組んで毎年操業しているのですから、使用料を北朝鮮に払っても十分な利益があがっているはずです。1回の航海でできるだけ多くの漁獲を持ち帰るため、大型の冷凍庫も完備しているでしょう。そこが、従来の北朝鮮の木造船とは違うところです。この小型船が少々がんばって操業したところで、漁獲は限られています。鮮魚として船内で保管できないからです。せいぜい天日で干すくらいですね。しかし、中国船は利益がとれるまで、冷凍庫がいっぱいになるまで帰国しないと思います。

 

日本海におけるスルメイカの漁獲状況について、近年大きく変化したのは中国船の参入だけです。ほかの国の漁獲努力はほとんど変化していません。むしろ、減少したのではないでしょうか。この中国の漁獲圧が日本や韓国で漁獲されていたスルメイカの減少に大きく影響したようにみえます。中国船の操業場所は、基本的に北朝鮮のEEZ、つまり日本海北西部です。そのすぐ南には対馬海盆があり、さらに対馬海峡の大陸棚へと続きます。したがって、近年中国船が漁獲しているスルメイカのなかには、そのシーズン親イカとなって対馬海峡に産卵回帰するはずだった個体が多くいたはずだ、とイカ男は推測します。そのあおりを食って、その他の海域のスルメイカが減ってしまったのですね。

 

北朝鮮EEZにおける漁獲は、地元漁師が小型の木造船で漁獲しているうちは、たとえその数が多くても、資源全体にさほど大きく影響しなかったと思います。スルメイカにとっても、案外サンクチュアリだったかもしれません。しかし、近代商業主義的な大型漁船団が襲来して、サンクチュアリは破壊されてしました。なじみの漁場から追い出された漁民は遠く大和堆周辺まで命を賭して出漁しなければなりません。同情する筋合いにはありませんが、指導者サマには自国の民への配慮をお願いしたいものです。そして願わくば、周辺諸国の漁業管理にも少々はご理解をお願いいたします。

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