20. 令和の米騒動!
最近、コメの価格が上昇しています。ウクライナ戦争が始まって輸入品の価格が上昇してきたのに加えて、ついに国内産米、お前もか!という気持ちになってしまいます。主な原因は生産コストの上昇と米の生産不足と考えられていて、日本では新しいタイプのインフレです。つまり、現在の米価インフレは、コスト・プッシュとサプライ・ロスという二つの要素によって起こっているようです。生産や製造に必要な原材料費(コスト)上昇が価格を上げた(プッシュ)うえに、需要に対して供給量(サプライ)が減った(ロス)ために価値が上がった結果なのです。注目すべきは、ディマンド・プルの要素がないことです。これは需要(ディマンド)の増加に(プル)、供給量が追い付かない、ということではないことです。経済成長が当たり前だった時代では(今でも多くの国はそうだと思いますが)、ディマンド・プル型インフレが常態でした。しかし、失われた○○年と言われた我が国では、デフレ状態が続き、ディマンド・プル型インフレは起こっていません。
財務省関係者や一部の経済評論家は、貨幣の流通量が増えると貨幣価値が低下し、インフレが起こる、場合によってはハイパーインフレが起こるとして、国債の発行を厳しく制限してきました。ハイパーインフレとは、国際会計基準によると「3年間で累積100%以上の物価上昇」だそうです。つまり、3年間で価格が2倍以上になるのですね。報道によると、ここ1年で地域よっては米価が2倍ちかくになっているようなので、現在の米価はほぼハイパーインフレということになっています。つまり、通貨量が増えなくても、ハイパーインフレは起こるのです。実際に、ハイパーインフレの例としてしばしばあげられる第一次大戦敗戦直後のドイツ帝国や太平洋戦争直後の日本、近年ではジンバブエやベネゼエラについて、この主な原因は、戦争によって供給力が崩壊したことに加え、多数の兵士が帰国したこと、またはもともと国内に供給力がなく輸入に頼っていたところ、輸入に必要なドル通貨を準備できなくなったことだと、イカ男は考えます。現在の日本の米価高騰は、戦争や災害などではなく、減反政策などによって供給力が削減されてきたことに原因があるとまずは考えられます。さらに輸入米との価格競争に敗れ、生産者じたい減少し続きてきました。識者の多くは、リカードの比較生産費説にもとづく自由貿易を推奨し、割高な国産農産品を買うよりも、輸入した方が経済合理的だと主張してきました。平時には反論の余地がない理屈だったのですが、ウクライナ戦争後、事態は一変しました。ウクライナのチェルノーゼム(黒土)で栽培される小麦の流通量が激減したのです。日本は米ドルを大量に保有しているので少々高くなっても買えないことはないのですが、有事には自由貿易の利点がなくなることを初めて実感しました。もし、再び世界的な大戦が起こったり、地球規模の気候災害が発生し、供給量が圧倒的に不足し、生産国が輸出を制限したらどうなるでしょうか。また、日本と敵対する国が日本に対して禁輸措置をとったらどうなるでしょうか。このとき真の意味で、貨幣はただの紙切れになるのです。
これから起こるかもしれない最悪のシナリオはこうです。米価の安定を図るため、政府は輸入量を増やします。安価な外国産米が入ると、消費者は喜びますが、国内の米農家は廃業を余儀なくされるでしょう。水田はいったん放棄されると、跡形もなくなってしまいます。遺跡の発掘調査で明らかですね。それを再び水田に戻すのは大変な事業です。さらに深刻なのは稲作技術や優良品種の消滅。日本の稲作は日本の風土に合わせて継承されてきたので、長期の中断を経て再開しようとしても、自然条件が変化してしまっている場合、従来の方法でうまくいくとは限りません。もし、大規模な火山噴火で地球規模の寒冷化が起こったら、事態は深刻です。政府が公務員に稲作再生を指示しても、収穫まで数年はかかりそうです。その間、イモ類で飢えをしのぐことになるでしょう。まさに飢饉ですね。官製の飢饉ということになります。まるで、どこかの国と同じです。
いま米騒動を起こすとしたら、安い米をよこせ!ではなく、日本産米を増やせ!と要求しなければなりません。でなければ、後々我々が飢えなければならないのです。