23. いざ夏の陣!
最近の報道によれば、米国のトランプ大統領が石破総理大臣あてに、8月1日から日本からの輸入品に最大25%の関税を課す可能性があると通知したそうです(2025年7月13日現在)。まだ発動まで時間があるため、最終的な関税率がどうなるかは不透明ですが、日本にとっては非常に大きなインパクトを持つ話です。
現在、アメリカは日本からの乗用車に2.5%、トラックに25%の関税を課しています。トラックの25%はそのまま据え置かれると見られますが、新たに乗用車にも25%が適用されれば、日本の自動車メーカーにとっては大きな痛手になります。トヨタやホンダといったグローバル企業の主力商品が打撃を受ける可能性も否定できません。
アメリカの消費者も日本車を多く選んでいますが、その価格が上がることを歓迎しているわけではないでしょう。それでもトランプ大統領が関税引き上げる背景には、アメリカ国内の自動車産業を守りたいという意図があります。かつて、米国は世界をリードする自動車産業を誇っていました。イカ男が小学生の頃に観たアメリカ映画やドラマでは、大きくて豪華なアメ車が街を走り回っていたのを覚えています。しかし、実はその頃から、米国の自動車産業はすでに斜陽化の兆しを見せていました。特にデトロイトはその象徴でした。1980年代には、日本車に対する激しい反発として「ジャパン・バッシング」が起こり、日本車をハンマーで破壊するパフォーマンスが報道されるなど、衝撃的な映像が繰り返し流れました。
一方、「アメリカの車は日本で売れていないのでは?」という問いには、「その通り」と答えるしかありません。日本では輸入車に関税はかかっておらず、現在は0%です。しかし、アメ車はほとんど見かけません。なぜかというと、性能や燃費、サイズ、価格帯などが日本市場に合っていないからです。ドイツ車など欧州車は多く見かけることからも、日本人が外国車を毛嫌いしているわけではありません。これに対して、トランプ氏は「日本の非関税障壁が原因だ」と主張しています。中には右ハンドル・左ハンドルの問題など、現実的には仕方のない事情もありますが、1点だけ無視できないのが日本の消費税です。日本では、輸入品にも消費税(現在は10%)が課されます。これは事実上、10%の関税と同じ効果を持っています。一方で、アメリカには日本のような全国一律の消費税は存在せず、州ごとに異なる「売上税」があるだけです。つまり、日米間で単純比較をすると、実質的な“関税”は日本が10%、米国が2.5%という構図になります。
以前ブログで紹介したように、日本の輸出企業はこれまで、輸出分について消費税の還付金制度を活用し、多大な利益を得てきました。しかし、もしアメリカが日本車に25%の関税を課すようになれば、当然日本からの輸出は減少する可能性が高まります。それは、輸出による消費税の還付額の減少にもつながるでしょう。
では、どのような対策があるのでしょうか。イカ男ならば国内販売の強化を図ります。しかし、そこで立ちはだかるのが消費税です。事実上、消費を抑制しているこの税が、国内需要の足かせとなってしまうからです。これまで、自動車メーカーだけでなく多くの輸出企業(≒大手企業)は還付金の恩恵を受けてきたため、消費税の存在に肯定的でした。しかし、今後、彼らがどのような立場をとるのか注目です。マスメディアは大手企業の広告収入に依存しているため、報道の姿勢を通じて、「企業 vs 財務省」の力関係が透けて見えるかもしれません。つまり、消費税の見直しを促すような報道が増えてきた場合、それは企業側の思惑が働いている兆候かもしれません。逆に、まったくそうした動きが見られない場合、依然として財務省の影響力が強い可能性もあります。
自動車は日本の基幹産業。アメリカの関税、国内の消費税などが複雑に絡み合い、いま大きな潮流が押し寄せています。そろそろ、消費税についても本気で見直すべき時が来ているのかもしれません。